柔らかい皮膚とは


あっという間に立冬だ。老いは確実に隙を狙って忍び寄る。このところ頭皮がかゆくてたまらず、よく見れば湿疹になっていた。初めてのことで知らぬ間に掻き毟り悪化したようだ。風呂にはあまり入らないが、足と髪はこまめに洗っていた。苦肉の策として椿油を地肌につけている。原因はストレスだろうか。不潔にしていたとは考えづらい。いやだなあ。自分の体調不良の話ばかりするご近所さんみたい。老化と云えば、昨日も今日もおでこを柱にぶつけ、たんこぶが青くなってきた。薄気味の悪い顔は見るのもイヤ。踏んだり蹴ったり。金井恵美子の『カストロの尻』を読んで自分ひとりの世界に閉じ籠り、やがて町の小さな映画館のざらざらした椅子に深く沈み込んでいく。