だますとは
寡黙な人、という言い方がある。それには二種類のタイプがあって、自分の意見をうまく言葉にできずに押し黙ってしまう人と、瞬時に相手の言葉の意味を熟考し、ふんだんに沸き上がる言葉の中から最もふさわしい返答を端的に云い当てられる人。「ほぼ日」で佐藤正午と糸井重里が対談をしている。今年文庫化された『鳩の撃退法 下巻』に糸井が解説を書いたのがきっかけらしい。佐藤正午の本を初めて読んで得意げになっている糸井がおもしろい。どれだけ自分がこの小説に惹かれたかを興奮気味に語り、作家の書くという行為の謎に迫っていく算段だ。それに答える佐藤は実にさりげない。うまい。小学生と大学生の対談みたいだ。20日まで7回に渡って連載される。