不在とは


深夜のメールは不吉な予感がする。演劇団の大先輩が亡くなった。ねじれた記憶を掘り起こせば、共演したのは28年前。あの時代の退廃的な空気に包まれる。朝まで一緒に酒を飲み、古い小料理屋で飯を食べ、薄汚れた街を歩いた。あの人は山伏のように森の中へ消えていった。こういうことに慣れていかなくちゃいけないのだな。凍てつく東京はとても寒くてさみしい。