永久とは


欲張らない。いつの間に自分にそう言い聞かせるようになったのか、うっすらとわかっている。けれど、それは一遍にそうなったわけじゃない。人生を諦めたとか、夢を持たないとか、いやらしくさみしいことでもなくて、どうせもう先は見えている、ごちゃごちゃしたものを剥ぎ取りたいってだけ。洗濯日和。薄日にこたつ布団など干して掃除機をかけると家の中の埃っぽさが消えてうっすら陽だまりの匂いが漂う。そうして百歳のおばあさんの顔で取り込んだ洗濯物を畳んでいると、なにかもうほんとうにいろんなことがどうでもよくなってくる。一日を大切に生きてゆくのはそれほどむずかしくはない。せかせかすると大事なことを忘れてしまう。