装うとは
冬に逆戻りの肌寒い日々。奄美に続いて沖縄も梅雨入り。四畳半一人暮らし時代の梅雨は地獄のような蒸し暑さに泣かされた。ここ数年は寒さの記憶しかない。四月に夏日が続いたものだから焦って衣替えしたのは見事なフライング。風呂で温まってから衣裳選び。20年くらい前、友だちの結婚パーティー用に買った黒い花柄ポリエステルのチュニックはまだ二回しか着ていない。大きなグレーのカーディガンを羽織るとワンピースに見えた。スパッツの下にパッチを履き、くすんだピンク色のコール天ジャンバー。秋と云うより冬の装い。駅前の焼き鳥屋さんは複雑な精神状態の客ばかり。大きな声とは裏腹のさみしい目が痛々しい。悲しくなる前に退散。