かそけきものとは


紋白蝶がひらひら舞っている。「かそけきもの」というエッセイ本は白洲正子だったかな。漢字で書くと「幽き」。万葉集では「可蘇氣伎」だけれど、かすか、淡い、はかないといった意味合いとしてはひらがなが似合う。強烈な紫外線を浴びて不確かな軌道を描き、弱々しくも健気に空を舞う姿は知らぬ間に視線から消えていた。どれくらいの広さの中に生きているのだろう。後を追いかけてどこまでも走ってみたい。最低の気分に落ち込み、このまま浮上できずに蒸発したい。