納涼とは


蚊に刺されて飛び起きた。二の腕の裏側を4箇所、膝の裏を2箇所。どれだけ血に飢えていたのか。泣きたいほどかゆい。昼間はカーテンの裏にでも隠れていて、電気が消えると現れるんだろう。悔しくて蚊取り線香に火をつけながらプンプン怒り、途端に虚しくなる。深夜に風呂場で刺されたところに石けんをすり込んで洗い流し、ヘビイチゴの焼酎漬けを塗った。いったい今は何時なのか、時計もよく見えない。頭も体も心もからっぽ。ふと玄関が開いて徹夜仕事かと思っていた家人が帰ってきた。録画した隅田川の花火大会でも見ますかとテレビをつけたら既に高いびき。花火は始まる前の30分で飽きた。出演者の浴衣姿が柄も色も着方も暑苦しい。あと化粧も。