勘違いとは


朝焼けの中に浮かぶ半分の月。束の間の極楽。あらゆる事から解放されたような、ほんの少しだけさみしい、何もしなくていい一日。あたまを空にしてぼんやりする。夕方、ハッとして周章てて宅配便を集配センターに持っていく途中でにわか雨。日曜日と勘違いしてた。ずぶ濡れでいつもの店に駆け込む。隣りに見かけない女の人。ビールでのどを潤して一服したところで突如、彼女が堰を切ったように喋り出した。「すぐ近所なのだけれど、ここは初めてで、どんなお客さんがいるのかなって…」面倒くさい。「エキストラをやって細々食べて…」思わずのけぞった。図々しい巨体と自意識過剰な厚かましさで生きている人。無視してまぐろ漬けに集中。