八つ当たりとは


一日あいつの顔を見ない。気がふれそうになるのを抑えるには酒の力を借りるのが手っ取り早い。アルコール度数の低い発泡酒を飲み続けても一向に酔わないし、擦り切れた神経をなだめる程度だけれど、バラバラに壊れてしまった精神を繋ぎ止めるくらいの役割は果たす。昼下りに中華屋に行きビールを飲んでいると、近所の紙屑リサイクル会社のバカ副社長が油を売っていて「昼間の酒は酔うよね〜」と汚らしい息を吐きかけてきた。「徹夜明けなんで、これから寝るんです」と半分嘘の啖呵を切ってやる。おやじすごすご引き下がる。主人曰く「一日五回も来られて参っちゃうよ」汚いジイサンがいると売り上げにも影響する。今度居たら喧嘩売るかもしれない。