過熱とは


朝寝坊のあいつ、午后1時すぎにひょうきんな顔でやってきた。いつもより急いでカリカリとフードを交互に食べ、野鳥観察に飛び出していった。毎朝、玄関を開けて外気の様子をチェックする。今日は風もなく寒さを感じない。あいつのひなたぼっこには具合のいい天気だ。暗くなってから近所の中華屋へ顔を出すと、この辺り一帯を所有している一族の未亡人が雄弁をふるっていた。店主が外に出ると今度は奥さんの怒りが爆発する。何度も買い物に出ては一杯ひっかけてくるらしい。一本気な人ほど悩みを深刻化させてしまう。石油ストーブとエアコンで30℃近い店の中で聞き役に徹するのは至難の技。眼鏡が曇り、なみなみ注がれる日本酒が水に思えた。