均衡とは


怖い北風が吹き荒れる。気温は昨日よりも高いのに大暴れする風の音が恐ろしすぎて外へ出られない。ミミコは果敢にも8時にやってきた。こいつを見てると寒いとか冷たいとか痛いとかの感覚をどこかに置き忘れてこなくちゃ生きていけないんだなと思う。ただ人から受けた恐怖心だけは心の奥底から消えない。ごはん茶碗を差し出す手は恐れなくなったものの相変わらず警戒心はなくさない。いつまで平行線のまま、この関係はつづくんだろう。忘れちゃならないのは彼女の意思を尊重すること。余計なお節介だけはしないこと。じっと耐え忍ぶ、それだけ。たぶんそれはお互いさま。これでも試行錯誤を繰り返した挙句の結論。あいつの自由を奪うことはできない。