不眠とは
寒い一日。先月末に亡くなられた画家の到津伸子さんを知ったのは古本屋の絵本コーナーだった。赤い毛糸のセーターのような表紙の『画家猫カーチャ』を手に取って開いたのは何年前だろう。彼女がエッセイストでもあり、恐ろしく美人だと知ったのは残念ながらつい最近のことだった。図書館で借りた『不眠の都市』2002年講談社は、パリ-東京間を往復した25年余り、その時差から生まれた物語。漂泊する濃密な時間と神秘。画家は鮮やかな矜持を身に纏い、その強靱なまでの心象風景を映像として記憶している。ネットで探したら『画家猫カーチャ』は品切れ重版未定、アマゾンでは6,525円の値が付いていた。図書館に置いてないのが不満。