始末とは


なつかしい匂いに包まれる。実家から持ってきた日本茶がどうにも古くなってしまい、まずくて飲めない。ふと思い立ちテフロン鍋で焙じてみた。強目の弱火でゆっくりゆっくりかき混ぜながら10分経った頃、一瞬で香りが変わる。この瞬間を逃すと焦がしてしまうから慎重に息を吸い込んでいた。お盆に広げて冷まし、茶筒を用意していて気づく。子どもの頃、近所にあった小さなお茶の製造所が稼働すると、清らかな青い匂いが辺り一面に立ち籠めた。まさに家の中が茶葉工場になっている。いいものだな。ほうじ茶はひと様に出しても恥ずかしくない出来ばえ。冷めた方が香りが立っておいしい。これを飲み終えたらすっきりする。物事は始末が大事。