プレゼントとは


歳を取りたくてたまらなかった。とにかく早く大人になって一人暮らしがしたかった。小さな田舎町の暮らしは危険がなさすぎて性に合わなかった。なにもかも変えたかった。けれど結局はマトリョーシカなんだ。ちっこい人形が中心に残っているように、頑なな人間性は変えられない。宅急便でずわい蟹が届く。家の人から。わるいなぁ。一肩解凍して黙々と食べる。手が冷たい。「こんなだぁれもいない道を歩くのがいいんだよ」太宰治の短編にあった一言が頭の中をぐるぐるした。夜、いつもの店でマスターからビール、誕生日が同じOさんから金粉入り日本酒を頂き、店員Mちゃんから岐阜の酒ごちそうになる。すみません。もう少し生きてみます。