嫌われ者とは


茶色が来た。名前はまだない。このところ茶色のでぶ猫がミミコの残りを狙いにやってくる。初めはおどおどしてたのに何度か顔を突き合わせているうちに警戒心が緩んできて、風呂場の横で茶碗の水をちゃんと飲み、名残惜しそうに振り返ってからなんとなく挨拶じみた顔をして去っていく。でもこいつはミミコと白うさぎに嫌われている。無理もないな、およそ可愛いとは云い難いまん丸の顔とからだ。誰からも愛される要素がひとつも見つからないけれど、あるとすればネコという種族に属しているということ。おまえさんたちの気ままな暮らしには付いていけないけれど、ちょっぴりでも生きていけるようにカリカリだけは用意しておくよ。