失われた色とは
紫は高貴な色。京都で江戸時代から続く染屋の五代目吉岡幸雄さんの言葉「植物染めにこだわるのは単なる情緒とかオーガニックとかナチュラルとか、もちろんそういうものあるんですけれど、何よりも美しい色がでてくるからなんですよ」吉岡さんは絶滅種に近い紫草を探し求める。デリケートで神経質な紫草はハウス栽培で生き残っていた。職人はその根を何度も何度も試行錯誤しながら染め上げていく。平安時代の鮮やかで豊かな色を追求する人たちの話は興味深かった。物事にあたる際、まっすぐに向かう人、斜に構える人、怠ける人、分からない人がいるけれど、とにかく手を動かすことが大事で、わたしたちはいろんなものを見失っている。