最後の仕事とは
やり残してた仕事をやっと片付けた。先月のこと、実家の隣りの奥さんの計らいで三島の美術館に母の絵を寄贈することになり、手元にある資料を探し出してまとめてあった。母の思いの詰まった稚拙な文章で綴られた履歴書、父の几帳面な文字で清書された略歴。主婦をこなしながら「絵描き」になるんだと必死にもがいた人生を改めて噛み締めることに苦痛を感じないはずがない。彼女の絵が少なからず人々に認められても向上心を失うことなく、努力を惜しまず、子どもに絵を教えることの愉しさと葛藤に悩み続けた日々。それらを総括して簡潔な画歴を作成。寄贈申込書に署名し、個展のチラシ等と共に投函。永いしがらみから解放された、そんな気分。