雀のおしゃべりとは
久々に幸田文を読む。殊更家事に厳しかった父、露伴との日々を綴った『父 こんなこと』は文のさっぱりした性格が心地好かった。掃除を終えると「あとみよそわか」と唱え「もういいと思っても、もう一度よく呪文を唱えて見るのだ」と教える父、失敗すると「サル(猿)め!」と罵られる娘。今日の『雀の手帖』(新潮文庫平成9年発行)は活字が7.5pt(直径2.65mm)と極小。他の文庫に比べると半分くらいに感じる。冒頭「これんぼっち」で迷う。目を凝らして「ぼ」。続く「とぱすぱ」で立ち止まり、彼女はせっかちだから「せかせかする」という意味だと「ぱ」と読める。「ちゃらっぽこな気持」は「いい加減な気持」と中々むずかしい。