いかさまとは
四十九日法要は初めてだった。午后から大雨予報に気が重く、早めに済ませて帰りたかった。葬儀の日も進行具合に嫌気が差したが、今回は極めて閉口させられる。自慢じゃないが般若心経を諳んじるのが唯一の特技だ。幼少時に禅寺の和尚さんの唱える韻律をからだで憶えてしまったので、今日のお経のお粗末加減にムカムカと腹が立った。時間稼ぎにひどくのろい上に大袈裟な息継ぎの箇所がありえない。バカにしてるのか。会食後に納骨堂、そして実家で形見分けとなったわけだが、何も頂かなかった。親戚付き合いを嫌った家庭に育ったせいで、あるゆることが苦痛でしかない。ずいぶん我慢して色んな行事に参加してきたが、そろそろ勘弁してもらおう。