彩りとは


近所でホトケノザを摘む。去年へびいちごを採った場所は整備されてしまったけれど僅かなコンクリートの隙間から紫の花がすっくと立ち上がっていた。先月26日に買った桃の花もガーベラもカーネーションもまだきれいに咲いている。家の中にこれほど花があるのは何年ぶりだろう。二十年前のマンションでは窓の手摺りに置いたローズゼラニウムのプランターに撒いた米粒をお目当てにやってくるすずめの影を障子越しに見るのがたのしみだった。狭いベランダの植木やハーブに囲まれ日差しの中で寝そべるマティの写真がある。遠い昔が昨日のことのように思える。これからも自分のために花を買おう。命のきらめきがそこにあるだけで時間を忘れられる。