若葉とは


やたら寒い。家中一掃して冬物を取り払ったあの夏日はなんだったのか。体温調節がうまくできなくて震え上がる。昨日は雨の中、八重桜の並木道を歩いていたら鬱金桜がピンク色に染まっていた。最初は淡黄緑色で幽玄な印象だけど散り際のほんのり赤らんだ花はどことなく滑稽で、朝は白花なのに夕方赤みを帯びてくる酔芙蓉のようにおっちょこちょいな美人を見ているようでうれしくなる。雨の日は俯かないで歩けるから灰色の空をパッと明るく染めるハナミズキの白花と赤花や、高い所でわさわさ揺れるイロハモミジの新緑に胸がときめく。我が家の青桐(たぶん)も赤い新芽をつけた。ちょっと気が早いけれど庭を掘り返してゴーヤの種を蒔く。