遊びとは

遠い記憶の中の風景。線路沿いの砂利道を母と歩いている。皮膚病を患っていた小さいわたしは隣町の病院に連れられて行く。いつもその道で数珠玉を摘んだ。それらを綺麗にしたらお手玉に入れたり、長い首飾りを作る。あまりうれしくない通院ではあったけれど、母とのこのひと時だけはたのしかった。今はもう道端で数珠玉を見ることもない。昔はすぐ近くに色んな遊びがあった。それらは生活に密着しており、知恵や工夫を導き出してくれた。祖母と田舎道を歩いている時は虎杖(イタドリ)の茎をポキンと折り歯でしごいて食べた。「イタンドリ」と教わったこの酸っぱいおやつが大好きだった。あの頃の母や祖母の年齢をとっくに追い越している。

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