旅する人とは

本が読める。極度の近眼で老眼になっても裸眼で本が読めた。けれど随分前から手元が全く見えなくなりガックリ、いろんなことを諦めざるを得なかった。手術後は毎日の点眼やら何やらで神経質になりすぎてすっかり忘れていたけれど、ふと枕元にあった本を手に取って開いたらスラスラとまではいかないにしても卓上ランプの灯りだけで文字が読めた。世田谷文学館で堀内誠一さんの展覧会が開催された時に買った「旅と絵本とデザインと」2009年だ。懐かしさについつい小一時間も読んで、裏の見返しに母のアルファベットのサインがあるのに気づく。当時見たがっていた母に送ってやり、死後に実家から持ち帰ったのだった。絶望のどん底から希望がみえた。

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