翠雨とは

細い雨がつづいた。植物たちがワイワイはしゃぐのが聞こえてくる。お蔭で肌寒く、仕舞い込んだライトダウンジャケットを引っ張り出す始末。未だにお尻用のホットカーペットと木綿の電気毛布も活躍中。このところ岡本かの子全集第3巻(ちくま文庫)を読んでいる。夢中になったのは30代の頃だったかしら。特に「鮨」や「河明かり」が好きだった。今になって読み返すとひどく胸につまされて何度も途中で放り投げた。おかっぱ頭に厚化粧のでっぷり太った童女みたいな写真の彼女からは信じられないほどスキャンダルに満ちた人生を送った。驚くべきなのは数多くの作品を急逝するまでの三年足らずの間に書き上げたことだ。華やいだ生涯だったことは間違いない。

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