いちばん好きな事は?と訊かれたら「書くこと」と即答する。断じて飲酒ではない。詩、手紙、随筆、脚本とかたちを変えても根本的に変わらぬ姿勢があって、決して私小説にならぬよう努めるのが鉄則だ。正直がモットーの日記でも書く行為には作為が伴う。時折LINEに誘われたり、書けるんだからSNSやればいいのにと云われても(書く)と(つながる)は相反する。つながりを拒絶したところから書くことがはじまる。倉橋由美子が二十代に書いた短篇集『悪い夏』のあとがきに「若さゆえ余裕に欠ける(作者35歳)」とある。サリンジャーは生前、初期短篇の書籍化を認めていない。脆弱なのだ。この歳になるとそういった隙や苦渋が目について読むのがイタイ。
苦渋とは


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