見知らぬ土地とは
七月に入った途端、夏の陽射しがまぶしい。夕方のまだ四時前だというのに太陽は容赦なく照りつける。友人に誘われて隣りの駅まで散歩に出た。待ち合わせに少し遅れると電話がきたので、ぶらぶらと小さくて古くさい街を一周する。眼鏡と時計の修理屋、下駄や子どもの上履きが並ぶ靴屋、大正時代を思わせるカレンダーが掛かった文房具屋、時間が止まったままのスナックの看板、ひどく懐かしい風景のはずだが、狭い道路に渋滞する車と置き自転車が汚れた印象を植え付ける。この街には似合わない寿司居酒屋で彼女と一献。今日ものみすぎ。