追想とは
どの月も11日は特別な思いがする。もう昔には戻れないし、戻りたくもない。けれど昔の物は長持ちだ。実家から持ってきた弁当箱。アルマイトは半世紀以上前から使っていたはず。プラスチックのパティ&ジミーは高校時代の物。サンリオショップが田舎娘を夢中にさせた。けれどわたしは巨人の星の弁当箱が気に入っていた。渋い。自分で作ったのり弁、おかずはゆで卵のみ。もしくはイギリスパントーストにグラニュー糖をまぶしたもの。肉が大キライだった。毎日マルシンハンバーグの入った弁当を食べているハンドボール部の級友をひそかに軽蔑した。罪のない時代。