善悪の彼岸とは
絶体絶命、人生最大のピンチ。夕方、駅前の焼き鳥屋さんで友人と軽く飲み、店主から秩父のお酒をもらっての帰り道。駅ビルで買物をし、2階のトイレへ行ってバスに乗り帰宅。玄関前で気づく。鍵と携帯電話の入った猫のポシェットがない。いちばん大事な物だからいつも肩に下げていたはずなのに。駅まで歯を食いしばって歩きトイレを探したが、ない。途方に暮れて交番へ行ったが取りつく島もない。駅ビルの管理室に届け出ても冷たくあしらわれ、公衆電話から家人に電話したが繋がらず。家までよろめきながら歩き、閃いた。二階の窓の片方の鍵が開いている。隣家の塀からよじ登ってこじ開け、PCのわずかな隙間からもぐり込む。熱い湯をかぶってからバス会社に連絡。一時間後に電話があり、営業所で保管していると云うので狂喜乱舞して駆けつけた。命の次に大事な猫ポシェット、戻ってきてくれてありがとう。