無限とは


明け方、ちっとも寒さを感じない。二十四節気では「啓蟄」七十二候では「桃始笑 ももはじめてさく」なんとはなしにぞわぞわとしてくる。玄関前にカナヘビのチビちゃんが早く出てこないかな。ピリピリした神経を持て余して歯をくいしばると泣きたいような気持ちになるけれど、もう涙すら出てこないのが哀れに思えて思考が止まり何も手につかなくなるのは病気ではなく甘えなのだと云い聞かせてしゃがみこむ。十三夜の月を見ても心が騒がない。現実を受け止められずに迷宮に迷い込んで動けなくなったら目を閉じればいい。逃げ出す場所はいっぱいある。今日はタクラマカン砂漠をどこまでも歩いた。