忘れん坊とは
失くし物は得意だ。3歳の時、電車の中に藤のバックを置き忘れた。母は激怒したけれど父が引き返して取り戻してくれた。父はヒーローに見えた。20歳、母に買ってもらった三万円の時計を失くす。次の時計も新宿三丁目の店で失くした。それから何年も時計をしていない。悔しいのは吉祥寺駅のトイレに手作りのヒョウ柄リュックサックを置き忘れたこと。すぐに気づいて戻ったが跡形もない。あの時、紛失届を出していたら…。台本と銀の煙草ケースは宝物だった。眼鏡も失くしている。チェーンを付けていたのにもかかわらず。こんなしくじりを何度繰り返しても酒が止められないのは手の施しようのないおバカさんということ。ローズマリーを沢山挿し木して忘れることにする。