冷たい雨とは


猫のうしろ姿は泣ける。2年以上前、マティがもう二階に登れなくなっていた頃、帰ってきたら暗い階段の3段目で放心していた。いったい何時間そうしていたのか。そぅっと抱き上げるとキュウと情けない声で鳴いた。あのうしろ姿は忘れない。まとまった雨は貴重。風呂場と居間と二階の網戸を外して放置すると夕方にはきれいになってる。雨靴を履き、沈んだきもちでうらぶれた街へ向かう。立ち呑みの刺身酒場をみつけて口元がゆるんだけれども、並外れてからだの大きな男の人が3人並んでカウンターはいっぱい。さすがに怯んで無難に外で焼き鳥を売ってる店へ。荒んだ顔の客ばかり、どんよりした空気。がっかりしてわたしの街に帰る。小一時間の散歩。