隠れ家とは


夜中に電気毛布を引っ張りだした。寒いというより体が冷たくて我慢できない。弱っている。けれどトリミングの仕事は思わぬ効果をもたらした。一日6時間も目を凝らしていると無性に外に出たくなる。引き篭もり状態のわたしが連日連夜さほど遠くない場所へ出かけて行く。人間観察とご飯代わりという言い訳。今日は薄日が差すくらいの曇り空。日焼け止めをズルし、帽子とスカーフとマスクに手袋で川沿いの遊歩道を歩く。定食屋でも見つけてビールという下心。ところが古びた商店街は閉店だらけ。あきらめて緑の深い公園で池の亀を見ながらビールを飲む。コンビニのたこ焼きがひどい味。枝がしなるほど葉っぱが重なり合う森はあんがいお転婆でいそがしい。