繊月とは


久しぶりの月は細く頼りなく儚い。日が沈んだ後の曖昧な空に鉄筆で慎重に引いた白い線がみえる。とても手が届きそうにない。古びた商店街は買い物袋を下げて家路を急ぐ恋人同士が高らかな笑い声を響かせているし、覗いた何軒かの店は幸福そうにカウンターで寛ぐ人々で溢れていた。行き場を失ってフラッと入った店ではピーナッツをつまみにジョッキのウーロンハイを呷る男女四人がお金儲けの持論を展開させている。申し訳ないが、くだらない。急いでビールを飲み干して帰宅。にんじんサラダと小蕪のぬか漬けでビール飲みながらイーストウッドの「ピンクキャデラック」1989年。山田康雄さんの吹替えで見たのは初めて?