七夕とは
「願ったってなんにもなりゃしねえ」太宰治の言葉はひとつひとつわたしの細胞に沁み込んでいる。ぼうぼうの髪を切って、椿油をたっぷり塗って、シャンプーして、爪を切って、シッカロールをはたいて、ずいぶんと軽くなった身体に似合う服を選んで、うす暗い部屋に横たわってまどろんでいたら夢に落ちる寸前で玄関のベルが鳴った。郵便局の人は迷子をみつけた父親みたいに情けない笑顔で申し訳なさげに小包を差し出す。次はクロネコの人が来て、ギャルソンみたいにスマートに荷物を置いていった。明日の準備をしてから近所の店で涼んでいると家人からメール。駅まで駆けつけると急激にお腹が痛くなる。トイレで血の気が引いていく。脱水症状、要注意。