雲の向こうとは
どんどん暑くなる。家の中でも露出した腕や肩がジンジンしている。わずかな隙間から差し込む日差しに殺意を感じてしまう。こんな時ほど用事や買い物を思い出す。修行僧の心持ちで揺らめく街へ。足の悪い老人たちの鈍すぎる動きでどこも行き止まり。バスを降りるにも、買い物をするにも道をふさがれて立ち尽くす。おそろしい現実。息抜きにビール飲んでいたら誘いの電話。気が乗らないけれどちょっとだけ付き合う。猛烈な食欲の三人といると寡黙にならざるをえない。焼うどんの煙りの向こうで笑っている人たちに手を振って家に帰る。日焼け止めクリームをシャワーで洗い流してウィンブルドンの空をみた。