団十郎とは
喜ぶべきなのか、いや戦々恐々と云うべきか。昨日のヒキガエルの若旦那はてっきりお食事に行く途中、たまたま家の前を通られたのだとばかり思っていた。今朝、玄関を開けてうっかり外に出た途端、足元に生ぬるい気配を感じた。奴は大わらわでガサゴソと逃げ惑い、わたしの箱庭に潜り込んで行った。あれほど威厳に満ちた姿は演技だったのか。図体のでかい間抜けなコソ泥みたいにあたふたしやがって。ここが棲家とは恐れ入る。仕方ない、情けをかけて名前をつけてやろう。弁慶と云えば「団十郎」。お前、くれぐれもアオダイショウには気をつけろ。なるたけ気配を消しているのだ。玄関開けたらアオダイショウなんて、ぜったい許さん。