休業とは
さみしいほど人がいない。東京の半分の人たちがどこかへ出かけてしまった。日々きこえてくる隣近所の話し声、子どもの泣き声も消えた。鬱蒼とした森の中に取り残されたように身動きがとれない。いつものように近所の店へでかけると、見事に客が誰もいない。こういうのどっちもきついんだ。照れ屋のマスターが話しかけてくれる。ひたすら明るく振舞って、余計に酔っ払う。あまり馴染みのない石カレイと春菊の白和えがおいしい。もはや自分できちんとしたものを作って食べる気力がない。余力で生きてる感覚。四月から随分働いた。もう休んでもいい。