献花とは
忘れようとも忘れられない日。ローズマリーとミントをテーブルに並べる。この五年の間に猫たちも父もいなくなり、神経を病んで体重が激減し、日々のこともおろそかになり、楽しいとか悲しいということがわからくなり、電車に乗れば貧血と腹痛に襲われ、ただぷかりぷかりと広い海に浮かんでいた。昨日に引き続き、母の親友から返事が届く。心強い言葉に胸がぎゅうと鳴る。見間違うほど幼女のように純真な母を思い、ラベンダーの匂い袋と手首サポーターを作った。頂いたお見舞いで誕生日プレゼントを買い、来週届けてやろう。すぐにお礼の葉書を書いた。マドレデウスを聴きながら残り野菜でトマト煮を作りパンに乗せて焼く。テレーザの透明で凛とした声に呼吸がやわらぐ。おいしい。一週間分たっぷりある。