従順とは


ロベール・ブレッソン監督『バルタザールどこへ行く』1966年をみる。フランスの小さな村の農場にもらわれてきたロバと少女の悲劇的な運命を描いた作品。少女役のアンヌ・ヴィアゼムスキーとロバのかたくなな瞳に吸い込まれたらそこは深い深い闇の底だ。堕落していくしかない人間たちから逃げ惑うバルタザールには穏やかな死しか残されていない。この監督の代表作とされる『ラルジャン』も救いのない映画だったが、ただ映像が美しすぎるせいだろうか、こちらの映画の方がより残酷であり、神話的でもある。