碧い海をみるとは
お雛さまを飾ってみたい衝動に駆られた。ここでは旧暦で祝っていたから四月九日が桃の節句だ。おばあちゃんが買ってくれたケース入りの四段飾りは雪崩を起こしそうな衣類の山に阻まれて襖を開けられない押し入れに眠っている。実現しそうもない夢だ。早朝、畑へ降りようとしたら霜で下まですべり落ちた。息が凍りそうに寒い。芽キャベツと分葱とふきのとうと庭のローズマリーを採って湯船に浸かる。帰り支度をしなくては。掃除と戸締まり電気の確認をして隣りの奥さんに手紙を残し、大きな荷物を三つ抱えて駅に向かった。小田原の駅で友人たちと合流し、車で水平線が弧を描く海がみえる蕎麦屋へ行って昼酒。それから約二時間で家まで送ってもらう。完全に時差ぼけ。