帰るとは
オリーブの実をいつ採ろうか迷う。たったのふたつ、ぷくりとうすい緑色の粒はまだかまだかと云っているようで悩ましい。重曹でアク抜きしてオリーブオイルに漬ければよいというところまでは調べた。あとはタイミング。できればそのまま土に埋めて芽が出たらいいんだな。これは難しそう。忘れたわけじゃない。彼岸の中日だからかしら、マティの夢をみた。胸に抱いて洪水から必死に逃げている。彼女はとても細くたよりないのに力一杯わたしにしがみつきコワイコワイと泣き叫んでいた。そのしなやかな筋肉は思った以上に手強かった。起きてからずっとあの感触が残っている。