小さきものとは


昨日の『草ひばり』について。これはちょっとした感動だった。小泉八雲が愛してやまない草ひばりが女中に餌を与えられず虫籠の中で死んでしまったお話。その一節「日が沈む頃、彼の極小の魂が目を覚ます。するとえもいえぬ優しさをたたえた、繊細で、この世ならぬ神秘な音楽でもって、室内が満たされ出す」「この小さなものの歌は恋の歌ーまだ見たこともなくまだ知りもせぬ相手を漠然と恋慕う歌である」そして飢えた虫は自分の脚を食べ、最期まで雄々しく鳴き続ける。なんて哀しい物語だろう。因みに夜店で買った草ひばりは1匹12セント。明治時代の1ドルを2万円として換算すると虫1匹が2,400円もした。目方では金より高いと書いてある。