架空とは


午前7時すぎの電話にドキリとした。ひどく高揚した兄の声。また母の妄想が暴走したようだ。今月初めに検査をした病院の売店でおいしそうなパンやお菓子を見たり、帽子を買ったりしたのがまずかった。担当医が部屋を用意してあるから行くのだと言い張っているらしい。母に何度か電話したが朝食が長びいている。なんとかつながり用意していたウソをやさしく話す。医者から連絡があり、何の問題もないから来なくていいと伝えると、意外にもあっさり喜んでいる。彼女は100度の熱で苦しんでいて、トイレにはまって血まみれだし、雨がひどいから一人でどうしていいか分からなくなっていた。とりあえず今日は行くのをやめると落ち着いたけれど、次は何が始まるのだろう。