昭和モダンとは
八重桜が散りはじめる。うっすらピンクに染まった鬱金桜は透明な光を放っていた。竹久夢二の描いた女がうつむいて頬を赤らめているよう。四月も後半、あれやこれや細々とした用事を片付ける。実家の隣りの奥さんに頂き物で恐縮だが、モロゾフのクッキーを同封してお礼の手紙を書いた。ゆうパックで出した後でよく考えたら定形外にすれば随分安上がりだった。まあいいや。こういうのは勢いが必要だから。マスクのゴムを取り替えたり、突っ掛けの底や側面をボンドで補修したり、冬物を仕舞うよりも先に夏物を出さなければならなくなった。満月の夜は雲に覆われている。早朝4時に西の空低く浮かんだ月を輪郭がはっきりとするまで見上げた。