ベビードールとは
少しだけ抵抗できた。待ち合わせ時刻を曖昧にすることで、精神的に追い詰められることなく店に到着した。昨日買った白いレースのワンピースの裏地がごわつくので丈を短くして着ていく。風が強いが裾が広がらないのがよい。白い帽子に緑色の三尺を首に巻いて入り口に立つと歓声が上がった。「ベイビー!」何を云ってるのかと思ったら、まるで赤ちゃんみたいにかわゆい、らしい。素直に喜べないどころか、気恥ずかしい。自分ではごく普通の恰好だが、確かに歩いていて三人くらいにじろじろ見られた。果たしていつまで木綿のワンピースを着られるだろう。友だちは昨日行ったプロレスの話で興奮してた。果たしてわたしが必要だったろうか。