謝肉祭とは
午前四時半、みぞれが雪に変わった。口を丸く開けてぽかんとする。54年ぶり54年…という他に頭が働かない。植木は玄関にしまい込んだけれど、ふさふさした万年草が雪の重みで悲鳴を上げているので一間ほどシートで覆い、飛ばされないよう石で重しをしたら小さなビニールハウスの出来上がり。自転車にもカバーを掛ける。凍えた手をお湯で温め、だるまさんみたいに着膨れてマリア・クレウーザのレコードを何度も聴く。「喜びの奴隷」という曲は大昔の深夜番組のテーマ曲に使われたような記憶がある。踊りだしたくなるサンバのリズムに酔う。ふと臨終の際はこれを聴きたいと思った。最後のリフレインの意味は「このところ、わたしはカルナヴァルのただなかにいる」だそう。