童心とは
朝、外でうれしそうな声がしている。向かいのおばさんが鳩と話をしていた。女の人はいくつになっても乙女心を忘れない。彼女はヒラヒラした木綿のワンピースを着て麦わら帽子を被り、レースの手袋をして鳥に豆を差し出している自分を想像して悦に入っている。アンパンを齧りながら「はぁ、死にたい」とつぶやくのも気高い感じがするから。今日は母の誕生日。何もしてやれなかったがくよくよしてもはじまらない。衣類の整理に取り掛からなくちゃ。気温は18度。もうセーターはいらない。これからの予定も決めよう。去年はこの時期に実家の庭でふきのとうを摘んで湯がいて食べた。もう花が咲いてしまったかな。また隣町の居酒屋に行くのもたのしみ。父の墓参りもそろそろ。