対話とは
ぶきっちょに大きな月が昇ってきた。いつもの店のカウンターは月見の特等席。ぽけらんと眺めては溜め息。お客さんはテレビの中の月に見入ってる。ほらあそこに出てるよ。バイト君に云ったら「そういうの興味ないですから」だって。面喰らった。スーパームーンだってよ、へぇ、昇り立てだよ、そうか、いつもよりぐんと大きくて明るいよ、ふうん。一人で対話する。スーパームーンなんて言葉を耳にするようになったのはまだ最近のこと。一年で一番大きな月をもてはやしている。なんだっていいよ。満月はうれしいもの。一眠りして日の出前の西に沈む不恰好な月を見て笑う。