デブ猫とは
いやな咳がでて胸に違和感。背骨も痛む。八月はそんな調子ではじまる。ひどく蒸し暑い。実家にはわたしが母に送った本が沢山ある。今回持ち帰ったのは武田花写真集「猫・日のあたる場所」1987年発行の1992年版、第六刷。うす汚れた猫の似合う町並み。彼女に云わせると野良猫は雰囲気があるのだそうだ。柔らかな日を浴びて思い思いの時を過ごしている猫たちの佇まいがすでに懐かしい。大きな顔、ぼさぼさの毛並み、たくましい筋肉、まぶしそうな瞳。色あせたページから日向の匂いがする。彼らの風情は真似しようもないが、こんな風に生きたいといつも思ってきた。夕立の中、近所の店。赤魚の粕漬焼と九条葱のぬた、渋い組み合わせ。