希望とは
忘れられない映画。「バルタザールどこへ行く」1964年「ラルジャン」1983年。どこにも救いがなく、破滅と転落の一途を辿る人々を淡々と描写するロベール・ブレッソン監督の「抵抗ー死刑囚の手記よりー」1956年を見た。脱獄物語といえば「ショーシャンクの空に」1994年がすばらしいのだけれど、こちらはもっと悲惨かつ冷酷。一切の感情表現を剥ぎ取り、無表情な主人公の独白と監獄の静けさだけが延々と続く。それでも希望を捨てない男の熱情と狂気が神事のようにうつくしい。あろうことか、トイレに行ってラストシーンを見逃した。スプーンで穴を開ける(掘る)という気の遠くなるような作業は見ているだけでもハラハラする。